築20年のタイミングで「修繕積立金の見直し」が必要って本当?
多くのマンションでは、築15〜20年で初回の大規模修繕工事を実施します。この時期は、新築時に計画していた修繕内容と、実際に行った改修工事の内容とのギャップが明らかになる時でもあります。
また、築20年を経過すると、建物や設備の劣化状況がより具体的に把握できるようになります。これにより、当初の予想と現実の劣化状況を比較し、今後の修繕計画を見直すための絶好のタイミングとなります。
さらに、「物価や工事費の変動」、「建築技術や材料の進化」、および「省エネ基準の変更」など、社会環境の変化も考慮する必要があります。これらの変化を反映した修繕計画の見直しが求められるのです。
積立金の金額変更はどのように進めればよいの?
修繕積立金の変更は住民にとって大きな問題であり、生活設計に大きな影響を及ぼします。住民一人ひとりの家族構成や仕事背景も異なるため、住民の合意を得るには多くの課題を克服する必要があります。
具体的な見直しのプロセスは以下の通りです。
❶専門家による建物診断の実施:建物の現状を正確に把握します。
❷長期修繕計画の策定:診断結果を基に、新技術や材料の導入も検討し、今後30〜40年の修繕計画を立てます。
❸積立金の再計算:物価上昇や予備費も考慮し、必要な修繕積立金を再計算します。
❹住民への説明:管理組合が主導し、見直しの必要性と結果を丁寧に住民へ説明します。
❺専門家のアドバイスを取り入れる:建築士や管理士などの専門家の意見を取り入れ、透明性のある意見集約を行います。
❻資産価値の維持・向上の提案:「長寿命化による資産価値の維持・向上」や「将来的なコスト削減の可能性」を考慮し、最終的な合意形成を目指します。
これらの手順を踏むことで、住民間の理解と合意を得やすくなります。
どうして築40年以上経ってしまうと、見直しは困難になるの?
築40年以上になると、見直しが困難になる主な理由は「住民の高齢化と収入の減少」です。また、「修繕」に対する住民間の意見の違いも一因です。現状に満足している住民や修繕の重要性を感じていない住民が多い場合、実際の問題が発生しない限り将来の修繕のための支出には消極的になる傾向があります。
さらに、過去に修繕積立金が低く設定されその水準が長期間維持されていた場合、住民がその水準に慣れてしまい、値上げに対して反発する可能性もあります。
しかし、最終的には積立金不足が住民生活に大きな影響を与えることも事実です。「外壁の補修」「水道設備の改修」「屋上防水工事」「エレベーターの更新」などが遅れると、生活基盤に影響を及ぼすだけではなく、修繕費用がさらに増大する悪循環に陥る可能性があるため注意が必要です。